2014年

4月

04日

「遺族年金の改正」記事

遺族年金 父子家庭

「KINZAIファイナンシャル・プラン」4月号に、遺族年金の改正(父子家庭への支給)についての原稿を書きました。国民年金法だけでなく厚生年金保険法も一部改正されていて、厚生年金の取り扱い(変わっていない点も含め)についても触れましたが、条文の表記に誤りがありました。30ページ右の段の下から12行目に「厚年法74条」とあるのは「60年改正法附則74条」の誤りでした。

 読者からのご指摘があったとのことで、熱心な読者がいることに(まだ発行されて4,5日しか経っていない!)少しばかり驚くとともに、ケアレスミスに深く反省しました。編集部にご照会くださった方に感謝いたします。

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2014年

2月

02日

平成26年4月以降の年金額

 平成26年4月以降の年金額が厚生労働省より、発表されました。

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000035972.html

 年金額は0.7%の引下げですが、基礎年金の満額(月額64,400円)は以下のとおり計算されます。

 0.968×1.003(名目手取り賃金変動率)×0.990=0.961

 804,200円×0.961=772,836.2円→772,800円(この額は依然として本来水準より高くなっています)

 772,800円÷12=64,400円

 11月20日付の投稿には誤りがありました。ご指摘いただいた方のコメントにもあるように、平成16年改正法附則7条の2の改正を読み違えていました(ご指摘ありがとうございました)。2014.2.2

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2013年

11月

20日

平成26年度の年金額は本来水準になるのかならないのか

 

 少し気の早い話ですが、平成26年度の年金額がどうなるか検証してみました。現時点での物価上昇率0.7%(9月時点での消費者物価上昇率)を前提としたかりの話です。

 

 すでに、足もとの物価変動と関係なく、過去の物価スライド凍結分を解消するために、今年の10月に続き、平成26年4月も年金額が1%引き下げられます。したがって、特例水準の基礎年金の満額は以下のとおりになります。

 804,200×(0.968×0.99)≒770,400

 

 これに対して、本来水準は賃金上昇率が0.7%以下であるとすれば、新規裁定者、既裁定者とも以下のとおりになります(0.982は25年度の改定率です)。

 780,900×(0.982×1.007)≒772,300

 

 ということで、この時点で本来水準が特例水準を上回ります。

 では、平成26年度の額は772,300円になる(1%まで下がらない)のかというと、ここでマクロ経済スライドが効いてきます。そこで、かりに調整率を0.9%とすると、0.7%の物価上昇率を上回ることになりますから、本来水準の年金額は据置きで766,800円(780,900×0.982)となり、この額はこんどは特例水準を下回ります。

 

 この場合、いったいどの金額になるのか。

 

 平成16年附則12条および同2項(過去の物価スライドの積残し分2.5%を解消することが盛り込まれた改正法により一部改正されています)によれば、平成26年度において、本来水準(マクロ経済スライドの適用前)が特例水準(1%引下げ後)を上回った場合は、マクロ経済スライドを適用するが、本来水準と特例水準の差が調整率以下であれば、その差以上には引き下げない、つまり、特例水準の額は保障するとあります。

 

 この12条の2項はかなり難解な文章で、この解釈でいいか若干の不安もあるのですが、この解釈が正しいとすれば(もし間違っていたらご指摘くだされば幸いです)、結論としては770,400円(1%引下げ後の特例水準)になります。特例水準は解消したのに(本来水準のほうが上回ったのに)、マクロ経済スライドを加味すると特例水準のままという、わかりにくい状態になります。(2013.11.20)

 

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2013年

1月

26日

25年度の年金額

 12月の消費者物価が発表され、25年度の年金額の物価スライド率が確定しました。24年の物価変動率は0.0%、したがって、年金額も変更なし。基礎年金の満額は78万6500円、厚生年金に適用される物価スライド率は0.978で、24年度と同じです。

 この時期はFP試験のテキストや問題集の新年度版への衣替えのための作業が立て込みますが、今回は金額がかわらないので手間がだいぶ省けます。その意味では小職にとっていい知らせです。いまの特例水準は、上昇した場合は前年度どおり、下落した場合のみ年金額も下方修正ということになっています。24年11月までの数字をみると微妙なところだったので、変動率がマイナスにならないことをひそかに期待していました。

 ただし、25年10月からは特例水準解消のため、物価の動きとは関係なく、年金額が1%減額されることになっています。したがって、10月からの年金額、物価スライド率は以下のとおりになります。

 

物価スライド率:0.978×0.990=0.96822 → 0.968

基礎年金の満額:804,200円×0.968=778,465.6円 → 778,500円

 

 もっとも0.968の数値は、法律の条文からは上記のとおり計算されますが、実際には「政令で定める」とされていますので、正式には政令を待つ必要があります。

 FP試験を受ける方は、25年9月の試験までは、これまでどおり(24年度)と同じ数値を覚えておけばいいですが、26年1月の試験では10月以降の年金額が問われれば数値が変わることになります。(2013.1.26)

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2012年

8月

20日

                                                              「社会保障と税の一体改革」関連法成立で決まったこれだけのこと

 8月10日に成立した「社会保障と税の一体改革」関連法が成立し、消費税率の引上げがきまりましたが、「一体改革」のもう一つの柱である社会保障改革は結局先送りに。年金について改正が決まったおもな点をまとめてみましたが、こんなに小さい表で済んでしまいます。

 このほかにも、基礎年金の国庫負担2分の1の恒久化が決まったことは重要といえば重要ですが、現状追認なので改正ともいえませんので表からは省きました。

 今回成立した年金関連法は「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」(機能強化法)、「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」(一元化法)と「社会保障制度改革推進法」の3本です。

 当初は機能強化法と一元化法が政府から提出されましたが、3党合意により、社会保障制度改革国民会議の設置を盛り込んだ社会保障制度改革推進法が議員立法により追加されました。

 なお、上記3法は「社会保障と税の一体改革に関する特別委員会」で審議されましたが、これとは別に審議されている「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案」はいまだ成立していません。この法案は①基礎年金の国庫負担の財源の確保手段、②いわゆる特例水準の解消を定めるものです。①については当初案では、交付国債を発行することとされていましたが、さすがに数字のマジックであるとの批判をうけ、つなぎ国債(特例公債)によることと変更されています。(2012.8.20)

 

項目

内容

実施時期

受給資格期間の短縮

老齢年金の受給に必要な加入期間を25年から10年に短縮

平成2710月から

パートなどへの厚生年金保険の加入拡大

加入対象の基準となる年収が現在の「130万円以上」から「106万円以上」に

平成2810月から

産休期間中の保険料免除

すでに保険料が免除されている育児休業期間中に加え、産前、産後の休業期間も保険料を免除

未定

遺族基礎年金の父子家庭への支給

遺族基礎年金の支給対象を「子のいる妻」から「子のいる配偶者」に拡大

平成26年4月から

共済年金の厚生年金への統合

公務員なども厚生年金保険に加入。共済年金と厚生年金保険の制度的な差異を解消

平成2710

から

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2011年

9月

30日

                                             年金額の物価下落分据置き解消の深遠な影響

 このところ連日のように社会保障審議会における年金制度見直しの検討内容が報道されています。その一つに(これは制度自体の改正ということではありませんが)、平成12年度から3年度にわたり、本来なら物価の下落に応じて年金額を1.7%引き下げるべきところ特例で据え置かれた分を解消しようというものがあります(現在では物価スライド率と従前額改定率の違いから1.7%は2.5%に拡大しています)。

 じつは、これが解消されると、16年改正後の本来水準と、平成12年度改正による5%引下げ前の水準(従前額保障による水準)のどちらが高くなるかが、一概にはいえなくなるという複雑な問題が生じる可能性があります。

 現在、年金額には以下の3通りの水準があり、その結果を「丈比べ」して最も高いものが支給されています。

①平成16年改正による本来の水準

②平成12年改正による水準(1.7%の据置き分は解消、かつ5%引下げ前の従前額保障)

③平成6年改正水準現在(1.7%の下落分据置き、かつ5%引下げ前の従前額保障)

 現在は間違いなく③の額が最も高くなるのですが、③がなくなった場合、①と②を比べて必ずしも②のほうが高くなるとは限りません。

 というのは①と②に用いる再評価率が異なるからです。①に適用されるのは新再評価率(これは毎年賃金や物価の変動により決められます)、②に適用されるのは旧評価率(これは変動しません)です。②により計算した平均標準報酬(月)額と①により計算した平均標準報酬(月)額を比較して、後者が前者より5%以上高くなれば、①の水準が②を上回ることになります。

 で、その新旧の評価率を比較すると平成22年度ではほとんどの期間について新が旧を5%以上上回っています。23年度の数字では逆におおむね5%を下回っています。個々の受給者により対象となる期間が異なることもあり、①と②がどちらが高いかは実際に両者を計算してみなければわからないということになりそうです。さらに、②には、③の物価スライド率に該当するものとして、従前額改定率が乗じられるので話はさらにややこしくなります。

 実務上は、両者を比較して高いほうの額が支給されるのですから、日本年金機構の計算(システム設計)を信じれば問題はありませんが、FPの試験などではこれまでのように「旧乗率による従前額保障で求めなさい」という設問では現実とのかい離が生じるかもしれません。

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2011年

9月

23日

                                                              雇用促進税制の計画提出は10月末日まで

23年度税制改正で導入された「雇用促進税制」は、一定の要件を満たすと採用1人につき20万円の税額控除が受けられる制度です。1人雇用すれば法人税が20万円少なくなりますので、相当に優遇された措置であるといえます。

 1年間に5人(資本金1億円以下の中小企業は2人)以上雇用すれば適用を受けられる可能性があります。ちなみに、パートでも雇用保険に加入すれば1人とカウントされます。そのほかにも適用を受けるためにはさまざまな条件を満たすことが必要ですが、そのうちの一つに以下の要件があります。

・前事業年度と当事業年度に会社都合の退職者がいないこと。

 逆にいえば、上記の要件を満たしていれば、適用の可能性があるということです。

 適用を受けるためにはあらかじめ「雇用促進計画」をハローワークに提出する必要がありますが、前期から解雇等による退職者がいない場合はとりあえず計画を提出することをお勧めします。

 計画を提出して未達成であってもなんのお咎めもありません。逆に、計画を提出しなければ適用は受けられることは絶対にありません。

 計画の提出期限は、事業年度開始後2カ月以内ですが、改正法の成立、施行が遅れたため、平成23年4月1日から8月31日までに事業年度を開始する場合は10月末日までに提出すればいいことになっています。3月決算~7月決算の会社は10月末日までにとりあえず提出してみましょう。

 なお、個人事業主にも同様の制度が設けられていますが、こちらは平成24年から暦年単位での適用となります。

 詳しくはこちら(厚生労働省)。

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2011年

9月

14日

                                                              HPを開設しました。

ひっそりと目立たないように仕事をすることをモットーにしていましたが、なぜHPもブログもないのかと要望とも苦情ともつかない意見をいくつかいただいていたので、HPを開設しました。

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